



今年もまた、和歌山・あら川の桃に会うことができました。
けれどこれは、単なる「買い物」ではありません。
私にとっては、家族と共に紡いできた“夏の儀式”のようなもの。
かつては、両親と連れだって出かけた道。
母が高齢で遠出を控えるようになり、
父も免許を返納してからは、
今度は娘や娘夫婦がそのバトンを手にしてくれました。
時代も、顔ぶれも変わるけれど。
「この時期にあら川で桃を買う」という習慣は、
まるで風のように、静かに、でも確かに我が家を通り抜けていきます。
今年も、名物の“桃パフェ”をしっかり堪能しました。
桃をまるまる2個も使った、贅沢な夏のご褒美。
3年前に訪れた頃とは、場所も建物もすっかり変わっていて、
美しく生まれ変わった姿に、時の流れを感じました。
私は果物の中で、桃がいちばん好きです。
そのやわらかさ、ほのかな香り、ほんの少しの儚さ。
そこに私は“命のきらめき”を見てしまうのです。
桃は古来より、「不老不死」「子孫繁栄」の象徴とされてきました。
実は、あの小さな“種”にも魔除けの力があると言われています。
丁寧に洗って干し、鬼門にそっと置いてみる。
そんな小さな所作に、命を守る祈りが宿るのかもしれません。
今年もまた、桃の甘い香りに包まれながら、
一つの季節を家族と越えました。
来年もまた、変わらぬ景色の中で、この儀式を続けられますように。
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